前半34分 玉田の先制ゴール
前半46分 ロナウドの同点ゴール
後半8分 ジュニーニョの逆転ゴール
後半14分 ジウベルトのダメ押しゴール


今大会は仕事や日程の関係で観戦は諦めていましたが、幸運にも5月末に募集したJFAの0泊2日弾丸ツアーに当選しました。当選したといっても旅費は自前、総額30万円以上の出費ですが、生で観戦できる、それも日本対ブラジルとなればお金のことは言ってられません。何とか仕事も2日間だけ休みをいただき、ドイツ行きが決定しました。

出発前、気になっていたのはこの試合が第3戦ということ。1、2戦の結果によっては日本の敗退、ブラジルの決勝トーナメント進出(逆の可能性もありましたが)が決まっていて、ただの消化試合になってしまうことでした。さすがにブラジルは優勝候補らしく、2連勝でこの試合を迎えていましたが、日本もブラジル相手に2点差以上をつけて勝利すれば、決勝トーナメント進出の可能性もあっただけに、観戦するには最高の試合でした。

6月22日午前7時(日本時間)成田空港

集合時間が午前7時。ネットで電車の時刻を調べ京成電車上野発午前5時3分に乗車。前日は上野のカプセルホテルに宿泊するが、隣のいびきと蒸し暑さと興奮でなかなか寝付けず、完全に寝不足のまま成田空港に到着。すでに「サムライブルー」に身を包んだサポーターでカウンター付近はいっぱい。NHK朝のニュースの生中継が行われたりして盛り上がっていました。

午前9時30分発JAL8823ケルン行きチャーター便に乗り込むと客室乗務員も日本代表のレプリカユニフォーム姿で出迎えてくれ、BGMにはヴェルディのアイーダが高らかに流れていて、いざ!決戦の地へという気持ちが盛り上がってきました。

6月22日午後2時(ドイツ時間)ケルン・ボン空港

約12時間の飛行時間をかけてケルン・ボン空港に到着。機内食ではブラジル産鶏を使用したチキンカツ丼がでてきたり、誰もが日本の勝利を信じていました。入国手続きは何も聞かれずそのまま素通り状態。外には大型バスが出迎えており、一路ドルトムントへ出発。高速道路からケルンの街を望むと遠くに世界遺産にも指定されている大聖堂の屋根が見えましたが、今回は観光は一切なし。飛行機の中ではほとんど眠れなかったのですが、バスの心地よい振動で約2時間の眠りにつき、ドルトムントのワールドカップスタジアムに到着。

6月22日午後5時(ドイツ時間)ドルトムントワールドカップスタジアム

スタジアムに入る前に、休憩と軽食のサービスを受ける。2回の機内食でお腹は空いていないのだが、ここで食事をしておかないと帰りの機内食まで10時間近く間があくので、ソーセージなど軽く食事をとり、おみやげにピンバッチとストラップを購入する。どちらもバラ売りはしておらず、5個入りで30ユーロ(1ユーロ約145円)、1個約900円で5個も要らないが、記念なので購入。スタジアム前にはすでに両国のサポーターがあふれ、大いに盛り上がっており、特にブラジルサポーターは太鼓にサンバホイッスル、そして大声で歌っていました。それに比べると日本人は大声を上げる訳でもなくおとなしいものでした。ちょうど、日本テレビの生中継も行われており、アナウンサーのラルフがサポーターにマイクを向けていました。スタジアム入場の前にはセキュリティチェックでかばんの中も調べられましたが、パスポートなどの身元チェックもなくすんなり入場できました。


日本代表練習風景

ブラジル代表練習風景

スタジアムはブンデスリーガのボルシアドルトムントのホームで63700人収容のサッカー専用スタジアム。このスタジアムはドイツ代表にとって不敗伝説の地で今まで一度も負けたことがないそうです(しかし、準決勝イタリア戦で初黒星)。スタジアムに入ってすぐに公式プログラム(英語版)を購入(1冊10ユーロ)、前回は1冊2000円だったので、少しだけ安くなっていました。それから日付の入った記念Tシャツを購入(20ユーロ)、そしてビールを飲もうと売店へ行くと、売っているのはなんとバドワイザー、せっかくだからドイツの地ビールでも思っていたが、バドがスポンサーなので他のメーカーのものは売っていませんでした。ドイツではデポジット制なので、価格に容器代が入っていますが、返却するとキャッシュバックされます。ビール代4ユーロ、容器代1ユーロですが、記念なので返却せずに持ち帰りました。席はカテゴリー1だったので期待していましたが、2階席でゴールラインの延長線上でした。

スターティングメンバー発表、FWは玉田と巻、初先発の二人に期待がかかります。DFには出場停止の宮本に代わり坪井が先発。対するブラジルは決勝トーナメントを見越してなのか、カフー、ロベルト・カルロス、エメルソン、アドリアーノがベンチスタート。このメンバーならひょっとして勝てるかもと思ったのは私だけだったのでしょうか?

選手入場、そして国歌斉唱。君が代を歌いながら心にこみ上げてくるものを感じたのは私だけではなかったと思います。気持ちは選手と同じでした。

日本ボールでキックオフ、試合の詳細は割愛しますが、日本がボールを持ったときの歓声は残念ながら文字では表せません。上のクイックタイムで雰囲気だけでも味わってください。そして迎えた前半34分、三都主が中央に切れ込みペナルティエリアへスルーパス、相手最終ラインの裏へ走りこんだ玉田が左足でシュートが見事に決まり日本が先制。この時の大歓声は4年前札幌ドームで観戦したアルゼンチン対イングランドのベッカムのPKにも負けないくらいのものでした。それまでブラジルに押されていたなかで、ワンチャンスをものにした最高のプレーでした。このまま1点リードで前半を終えればと思っていたロスタイム、ロナウドにヘディングを決められ同点で終了。GK川口はこの試合もスーパーセーブでブラジルの攻撃を抑えていたので後半に期待していましたが、この期待は8分ジュニーニョ、14分ジウベルトのゴールで大きく打ち砕かれました。とどめは36分ロナウドのこの日2点目のゴール、本調子でなかった彼に立ち直りのきっかけを与える結果となりました。そして試合終了のホイッスル、1対4という完敗。決勝トーナメント進出には2点差以上をつけての勝利が絶対条件だったのに3点差をつけられての敗戦。これで日本代表のドイツワールドカップは終わりました。王国ブラジルの強さと日本の実力の差を改めて思い知らされました。

(左)試合終了後の選手たち

サポーターへ挨拶をするためにセンターサークル右側に集まっている選手たち。それに対し左側にいる白いシャツが中田英寿、彼はこの後座り込み、そして大の字なって夜空を仰ぐ。これがピッチで見る彼の最後の姿になるとは思いもしませんでした。お疲れ様でした、ありがとう!

往復23時間、滞在13時間という超強行軍での弾丸ツアー。敗戦という残念な結果に終わりましたが、この試合が中田英寿の最後の試合になったこと、これは試合の勝ち負け以上の価値があったと私は思います。

敗因についてはいろいろと言われていますが、終わったことに対してとやかく言っても始まりません。今回の反省を基に2010年の南アフリカ大会を目指してもらうだけです。今大会でアジア地区代表は韓国が1勝しただけ、他3カ国は未勝利でした。参加枠が4.5から減少される可能性もあります。更に決勝トーナメントに進出したオーストラリア(日本は1対3で完敗)が次回からはアジア地区に参加することを考えれば、4大会連続出場は厳しいかもしれません。しかし、私は日本代表が南アフリカへ行くことを信じています。そして、私も南アフリカまで応援に行きます。